
高いレベルのクリアな空気を提供するには
WELL Building Standard®(以後、WELLと省略)を訳しながら読んでみた、まずは評価項目の初めとなる空気の章から。詳細の日本語訳は下段の通りだが、読んでいくと以下のような内容になっている。
人は人生の9割の時間を室内空間で過ごすため、室内空間の汚染物質をなるべく排除しましょう、ということが書いてある。次に、外部から汚染物質を持ち込まないように工夫しましょう。最後には、換気と利用者の気分転換/生産性の向上のために、開閉ができる窓を用意すると良い、と。
WELLの基準を考えなくとも、外気が綺麗で気候がよい地域であれば問題ない。(※)トイレの換気扇を使った第三種換気をベースに窓の開閉による自然換気を併用することで、快適で安全な環境が整備できるだろう。ルームエアコンに標準装備の小さなフィルタだけでも、十分にクリアな空気を提供できるはずだ。一方で、都市部は考えるべき汚染物質が多く複雑になってしまう。WELLの基準に則って言えば、高性能フィルタ付きの空調・換気設備が必要になってくる。相当のコストをかけ全熱交換器を使用した第一種換気とすれば、基準の合格に近づき良好な室内空気が手に入る。
※ 冬が厳しい地域では暖房代を抑えるため、顕熱交換機を採用した方が良いかもしれない。あるいは、冬でも自然換気ができるような熱源を計画するか。
WELLのレベルが高すぎるかもしれない、それでも多くの住宅の空調・換気の在り方を考え直す良い契機を提供してくれているように思える。クリアな空気を供給するための設備が、高原と都市部それぞれの住宅で同じであるようには考えられない。
下段、AIR項目の訳文を記載しておく。本文は末文のURLにて読むことができる。
AIR:必須項目(P)はA01〜04 選択項目(O)はA05〜14
AIRのコンセプトは、建物の長い寿命の間、室内に高いレベルでクリアな空気を提供すること。汚染物発生源の除去・削減、建築設計と運用方法、人の活動への指針提示など、多様な戦略を打ち立てている。人々は、家庭、オフィス、学校、その他の建物環境など、室内空間で人生の約9割の時間を過ごす。この間、室内空気汚染物質を吸入することで、短期的・長期的にさまざまな悪影響を健康や幸福に及ぼす可能性がある。軽度な症状としては、頭痛、喉の乾き、目の炎症、鼻水などがあり、より深刻なものだと喘息に始まり、一酸化炭素中毒、レジオネラ菌感染など、様々な感染症が挙げられる。アメリカでは、年間数千人のがん死亡や数十万人の呼吸器系の症状の原因として、空気汚染が挙げられている。公衆衛生上の懸念に加え、アメリカEPAの試算によると、空気汚染関連の回避できる経済コストは、年間1000億ドル以上にものぼる。その内訳は、約45%が生産性の低下、約45%がラドンや受動喫煙による人材の死亡、約10%が呼吸器疾患によるものだ。
最も一般的な空気汚染物質は、ロウソク、タバコ、ストーブ、暖炉などの燃焼源で、一酸化炭素、二酸化窒素、微粒子などの汚染物質が空気中に放出される。建材、家具、布地、掃除用品、パーソナルケア用品、芳香剤などからも、揮発性有機化合物(VOC)や半揮発性有機化合物(SVOC)が放出される可能性がある。(後略)A01 AIR QUALITY : P
主 旨 : 利用者の健康と幸福に寄与する、基本レベルの室内空気を提供する
概 要 : 公衆衛生局の定めた許容可能なレベルの空気品質を確認する
課 題 : 大気汚染物質(揮発性有機化合物(VOC)、オゾン、粒子状物質、一酸化炭素など)にさらされると、呼吸器や循環器の疾患リスクが高まり、年間数千人のがん死亡者を出すことが分かっている。(中略)そのため、人間の健康へのリスクを最小限に抑える室内空気品質レベルを定義することが重要。
解決策 : WHOや米国環境保護庁(EPA)などの機関では、大気汚染物質の基準リストを定めている。この基準リストは、汚染物質の濃度・暴露時間・健康リスクとの関係を示す疫学的研究に基づき、基準汚染物質の許容濃度を定めている。(後略)
審査項目: (要約内容)
Part 1 粒子状物質(PM2.5、PM10)の閾値を満たす
Part 2 有機質ガス(ベンゼン、ホルムアルデヒド、トルエン)の閾値を満たす
Part 3 無機質ガス(一酸化炭素、オゾン)の閾値を満たす
Part 4 ラドンの閾値を満たす
Part 5 Part1-3について定期的(1年以内)に計測し報告するA02 SMOKE-FREE ENVIRONMENT : P
主 旨 : 喫煙を抑止し、居住者が副流煙にさらされるのを最小限に抑える
概 要 : 屋内喫煙を禁止し、敷地内で屋外喫煙を禁止/制限することを求める
課 題 : タバコの煙は、喫煙者だけでなく、副流煙にさらされる人の健康にも悪影響を与え続けている。(中略)こうした健康への悪影響があるにもかかわらず、世界人口の80%が100%禁煙規制で守られていない国に住んでいる
解決策 : (前略)屋外からのタバコの煙の侵入を防ぐため、建物の入り口・窓・吸気口付近での喫煙を禁止する措置を取らなければならない
審査項目: (要約内容)
Part 1 屋内での喫煙の禁止する
Part 2 屋外での喫煙の禁止を伝える看板を設置するA03 VENTILATION DESIGN : P
主 旨 : 適切な換気を行うことで、室内空気の問題を最小限に抑える
概 要 : 人間や製品から発生する汚染物質を希釈するために、機械的にまたは自然に外部から新鮮な空気を取り入れることを求める
課 題 : 換気の悪い空間は、シックハウス症候群(SBS)の症状を引き起こす原因となる。また、換気不良は、従業員の欠勤率の増加、企業の運営コストの増加、学生の生産性低下にもつながる。アメリカでのある研究では、建物内の新鮮な空気の供給不足に起因する病気休暇は、欠勤者全体の35%に上ると推定されるとが報告されている。したがって、換気不足の建物におけるSBSの経済的コストは大きく、エネルギー関連のコスト削減をはるかに上回ることになる。
解決策 : (前略)機械換気の部屋では、適切な空調制御(HVAC)システム設計に加え、定期的なメンテナンスが必要。メンテナンスが不十分な場合、換気性能が低下し、室内空気品質や熱環境の悪化につながります。自然換気の部屋は、適切な外気と騒音レベルを確保する必要がある。屋外の空気環境と騒音レベルが適切であることを求める
審査項目: (要約内容)
Option 1 (機械換気)換気ガイドライン(ASHRAE、CIBSE等)の吸排気量を満たす
Option 2, 3 (自然換気) 換気ガイドライン(ASHRAE、CIBSE等)の基準を満たすA04 CONSTRUCTION POLLUTION MANAGEMENT : P
主 旨 : 建設時に発生する汚染物質の室内空気への侵入を最小限に抑え、健康のために汚染した室内空気を修復、同時に使用した建築資材の劣化を防ぐ
概 要 : 建設・改修中に、外壁の保護、湿気やほこりの管理や、フィルター交換、エアフラッシュなど適切な設備機器の採用による、室内空気の質の保護を要求する
課 題 : 建設・解体工事に起因する大気汚染は、近隣で働く人々や居住する人々の健康や生活の質に影響を与え、慢性閉塞性肺疾患による死亡率の上昇と関連している(後略)
解決策 : (前略)エアダクトの保護、湿気やほこりの管理、フィルターの交換、適切な機器の使用などを求め、室内空気質を改善するために、建設中の激しく汚染される可能性のある期間に建築資材が暴露されるのを防ぐ
審査項目: (要約内容)認証登録後に発生する工事については、以下の要件を満たす
Part a ダクトは工事中密閉されている、または設置・使用される前に清掃される
Part b 工事中も建物の空調が作動している場合、MERV 8等のPM除去率70%以上のフィルターを使用するか、工事終了後にフィルターを全て交換する
Part c-1 カーペット、天井パネル、布製壁材、その他の吸湿性のある材料は、調湿管理のされた場所に保管される
Part c-2,-3 工事スペースは、出入口や窓を密閉し他のスペースから隔離され、出入口には玄関マット等を設置する
Part c-4 のこぎりなどの工具は、ダストガードや集塵機を使用して発生した粉塵の拡散を防ぐA05 ENHANCED AIR QUALITY : O
主 旨 : 人々の健康と幸福を促進するために、室内空気質のレベルを高めた建物を奨励する
概 要 : A01で掲載したガイドラインを越えた、健康と生産性向上に関わる空気品質レベルの提供を要求する
課 題 : 呼吸する空気の質は人々の健康と幸福に直接影響し、建築が人の健康を支える一端を担う。研究者は空気の質と人間の生産性の間に明確な関係があることを明らかにしている(後略)
解決策 : 室内空気の質は、主に発生源対策、受動的・能動的な建物の設計・運用戦略、人間の活動への指針提示により適切に管理できる(後略)
審査項目: (要約内容)
Part 1 粒子状物質(PM2.5、PM10)の閾値を満たす
Part 2 有機質ガス(アセトアルデヒド、アクリロニトリル、ベンゼン、カプロラクタム、ホルムアルデヒド、ナフタレン、トルエン)の閾値を満たす
Part 3 無機質ガス(一酸化炭素、二酸化炭素)の閾値を満たすA06 ENHANCED VENTILATION DESIGN : O
主 旨 : 外気導入や換気効率の向上により、建物内部で発生した汚染物質を排出し、呼吸域の空気質を改善する
概 要 : 高いレベルの空気品質を提供し、人の健康と生産性の向上に貢献する高度な換気システムを要求する
課 題 : 換気基準や他の基準の多くは、利用者にとって単に「許容できる」程度の室内空気の質を提供するだけのものであり、健康への悪影響のリスクを低減するだけのものである。(後略)
解決策 : シックハウス症候群の症状を最小限に抑え、人間のパフォーマンスと生産性を向上させるためには、基準風量を大幅に上回る換気量が必要であることが研究によりわかっている。すべての汚染物質を検査することは困難なため、検出が容易な二酸化炭素を他の室内汚染物質の代用として測定する。二酸化炭素濃度が800ppm以下になると、シックハウス症候群の症状のリスクが大幅に減少すると判明している。(後略)
審査項目: (要約内容)
Part 1 Option 1(機械換気)換気ガイドライン(ASHRAE)の吸排気量の130〜160%を満たす
Option 2(機械換気)デマンドコントロール換気で、二酸化炭素濃度が閾値を満たすよう外気換気量を調整する
Option 3(自然換気)呼吸域の二酸化炭素濃度が閾値を満たすのに十分な人工自然換気システムを導入する
Part 2 Option 1 置換換気システムを導入し、設計基準をガイドライン(ASHRAE、REHVA等)に合わせる
Option 2 ワークスペースで、呼吸域に風速0.25m/s以下で外気が供給され、吸込口は床から2.8mの位置にあるA07 OPERABLE WINDOWS : O
主 旨 : 良質な外気の供給を増やし、外気の質が許容される場合に建物の利用者に窓を開けるよう促すことで、屋外環境とのつながりを促進する
概 要 : 外気の質が許容レベルの場合に建物の利用者に窓を開けるよう促すことで、屋外環境とのつながりを促進し、高品質の外気の供給を増加させるために、建物に窓を要求する
課 題 : (前略)外気が良好なとき、窓を開けることで新鮮な外気が供給され、室内空気の汚染物質が減少させることができる。また、窓を開けて自然換気をすることは、人間に好ましい経験をもたらすことができる。(中略)自然換気により、生産性が7.7%も向上するという研究結果もある
解決策 : (前略)屋外条件が窓を開けるのに適している際には、建物の利用者に知らせ、屋内空気汚染物質の発生と残留を減らすことができ、同時に汚染物質の発生を減らすことができる
審査項目: (要約内容)
Part 1 75%のスペースに開閉可能な窓がある、あるいは開閉可能な窓の面積が床面積の4%以上
Part 2 Option 1 建物から4km以内にあるデータ収集ステーションにて、屋外条件(PM、温度、湿度のレベル)が監視されている
Part 2 Option 2 屋外条件が基準を満たすとき、窓際にある表示灯で利用者に信号を送るA08 AIR QUALITY MONITORING AND AWARENESS : O
主 旨 : 室内空気の質を監視し、室内環境の質について利用者への情報提供を行う
概 要 : 環境の質について使用者に教育と権限を与えるための、汚染物質データの継続的な測定を要求する
課 題 : (前略)室内空気の汚染物質には、喉の炎症や目の充血など、私たちの体にすぐに影響を与えることで認識されるものがあるが、一方で、発見されずに放置されるものもあり、その影響は必ずしも軽微ではない。アメリカの環境保護庁によると、呼吸器疾患、心臓病、がんなどの健康への影響は、暴露後何年も経ってから現れることもある。
解決策 : (前略)空気の質はどの建物でも1日中変動する可能性があるため、室内品質指標の逸脱を迅速に修正し、居住者が汚染物質にさらされるのを最小限に抑えるためには、リアルタイムのモニタリングが必要です。(中略)さらに、汚染物質への曝露リスクを低減するために、取りうる行動を利用者に伝えることで、自身の汚染レベルを抑制するよう模索するようになる
審査項目: (要約内容)
Part 1 Option 1 汚染物質(PM、二酸化炭素、一酸化炭素、オゾン、二酸化窒素、VOC、ホルムアルデヒド)のうち、3種類以上を測定するモニターを設置している
Part 1 Option 2 データは、WELLデジタルプラットフォームを通じて毎年提出する
Part 2 Part 1で得た空気の質に関する情報は、ディスプレイに投影あるいは、ウェブサイトに掲示されているA09 POLLUTION INFILTRATION MANAGEMENT : O
主 旨 : 建物の外壁や入り口から室内空気への汚染物質の侵入を最小限に抑える
概 要 : 建物の外壁や玄関を通して、屋外から屋内への空気や汚染物質の伝達を減らすことを求める
課 題 : (前略)建物の気密性の程度により、室内空気の質や快適性を損なうことがあります。気密性が低いと、エネルギーの無駄が多いことに始まり、カビの繁殖を助長し、害虫の侵入させる可能性があります。他にも、建物の利用者の衣服が媒体となり大腸菌群や大腸菌などの有害物質を含む粒子状物質を室内に持ち込んでしまう
解決策 : 外装材の査定に加え、室内空間への有害物質の侵入をなるべく防止する対策が必要。対策例としては、主要な入口にウォークオフシステムや気密確保のためのエアシールの設置が挙げられる
審査項目: (要約内容)
Part 1 Option 1 定期的に使用されるすべての出入口には、規定の幅・長さを満たす玄関マットがあること。また風除室あるいは回転ドアが設置されている
Option 2 出入口は、毎日掃除機をかけ、毎週湿式洗浄をおこなう
Option 3 屋外スポーツ施設に隣接する場合は、舞い上がる湿気やゴミから離隔するための中間領域を設ける
Part 2 設計・施工中のプロジェクトは以下を満たす
a 外装の性能指標(材料、部品、組立品、システムを含む)に責任を持つエンジニアを基本構想の段階で起用
b 外装の性能要件は、クライアントの要望通り、基本設計図書に記載されている
c 専門家による外装の気密性調査を計画している
d 外装に関するコミッショニングを計画通りに行う
e 外装のコミッショニング計画は、保守管理マニュアルに含まれているA10 COMBUSTION MINIMIZATION : O
主 旨 : 空調等の熱源から発生した汚染物質が人に暴露することを防ぐ
概 要 : 低排出ガス燃焼製品を使用するか、燃焼に基づく製品を完全に使用しないことを要求する
課 題 : 燃焼による排出物は、主に暖房、調理、近隣の交通機関などから排出され、空気汚染の主な原因であるが見過ごされることが多い。非効率的な暖房方法、調理、による燃焼により、健康を害するさまざまな汚染物質を含む高レベルの室内空気汚染を引き起こす。(後略)
解決策 : 非燃焼または低排出ガス燃焼製品を採用することで、大気中の一酸化炭素、二酸化窒素、微粒子等の副生成物を削減する
審査項目: (要約内容)業務用厨房を除く
Option 1 燃焼を利用した暖炉、ストーブ、ヒーター、レンジ、オーブンは使用しない
Option 2 冷暖房、給湯、発電のための施設は、以下2点以上を満たす
a カリフォルニア州南海岸大気質管理地区の公害に関する排出規制を遵守する
b 電気式である
c 地域暖房または冷房で供給される
Option 3 敷地内の送迎エリアと駐車場において、30秒以上の自動車エンジンのアイドリングを禁止A11 SOURCE SEPARATION : O
主 旨 : 室内汚染源や化学物質の隔離と適切な換気により、室内空気質を維持し、嗅覚の快適性を最大化する
概 要 : ドアや専用の排気口を通じて、臭気、細菌、汚染、または湿気の主要な発生源を隔離する
課 題 : 空気汚染は、掃除用具、オフィス機器、湿気の多い環境などの室内環境から発生する(後略)
解決策 : 建物内の空気汚染を抑制するために、発生源を排除するか、拡散する前に発生源で排出を阻止する。難しければ、物理的に分離し、直接換気による排気システムを採用する
審査項目: (要約内容)
(住宅を除く) 浴室、厨房、清掃室、薬品保管庫、プリンターのある部屋、高湿度の場所について、以下を満たす
a 出入口は自動ドア、風除室で分離されている、あるいは、負圧で他の部屋に空気が流出しない
b 換気空気が屋外に排出され、再循環しないような構造になっている
(業務用厨房)レンジフード、換気風量に関する条件を満たす
( 住 宅 )レンジフード、調理器具について、以下を満たす
a 排気は直接屋外に排出する
b 排気口と吸気口は3m以上離れていること(地域の条例に別途指定があれば、それを優先)
c レンジフードの最低排気風量は200L/s、又は150L/sをレンジの幅(m)で除したもの
d レンジフードは、コンロの面積の75%以上を覆うA12 AIR FILTRATION : O
主 旨 : 空気濾過により、屋内外の空気汚染物質を減らす
概 要 : 機械換気の場合、適切な空気濾過を行い、設置されたフィルターのメンテナンス手順を文面にて残す。自然換気の場合、換気にて使用するの外空気の質が基準を満たすことを要求する
課 題 : 粒子状物質(PM)への暴露は、多くの健康上の悪い結果と関連している(後略)
解決策 : 適切な換気フィルターを採用することで、屋内外の空気汚染への曝露を最小限に抑えることができる。(中略)高品質の室内空気を維持するために、一次濾過に加えて前濾過フィルターが必要な場合が多いため、建築が空気汚染の激しい地域に位置しているかを認識することも重要
審査項目: (要約内容)
Option 1 換気装置にはメディアフィルターを使用し、濾過による年間平均外気PMとPM除去量が指定の閾値を満たす
Option 2 定期的(1年以内)にフィルターを交換し、報告するA13 ENHANCED SUPPLY AIR : O
主 旨 : 感染症粒子や揮発性有機化合物(VOC)など、室内の汚染や公害源によるリスクを軽減する
概 要 : 換気設備の給気は再循環させない構造、又は、メディアフィルター、紫外線殺菌照射(UVGI)を採用する
課 題 : 建材、布地、清掃用品、パーソナルケア用品、接着剤、溶剤、芳香剤などは、いずれもVOCや半揮発性有機化合物(SVOC)を室内環境に放出する可能性がある。(中略)VOCやSVOCの健康被害としては肝臓、腎臓、中枢神経系へのダメージが挙げられる。COVID-19のような空気感染する粒子は、数時間以上浮遊していることがあり、建物のダクトを通して再循環される可能性がある。
解決策 : 汚染空気の再循環を避ける最も簡単な方法は、空気を再循環させないこと。ただそのためには、100%外気を空間に供給する必要がある。残念ながら気候によっては高いコストがかかるが、熱回収システムを使用することで軽減することができる。再循環させた空気は、汚染物質を除去するために処理することも可能。カーボンフィルターはVOCとオゾンを濾過、HEPAフィルターはウイルス粒子を除去できる。UVGIシステムも、部屋の上部やダクト内を照射する場合、紫外線量を供給できるほど風速が十分に遅ければ効果的と言える。最後に、室内用空気清浄機も清浄された空気が呼吸領域内に供給されることが多く、有益である。(後略)
審査項目: (要約内容)
Option 1 以下のいずれかを採用する
a 供給空気は建物内部から再循環してない
b 部分的に再循環されている場合、活性炭フィルター、メディアフィルター、UVGIを採用
Option 2 換気フィルター、装置がメーカーの推奨に従って交換または保守し、毎年報告するA14 MICROBE AND MOLD CONTROL : O
WELL Building Standard V2 Q4 2022
主 旨 : 機械設備内のカビやバクテリアの繁殖を抑制する
概 要 : UVGIを使用、あるいは冷却設備の機械を定期的に検査し、微生物やカビの成長を低減することを要求
課 題 : (前略)エアコン、特に冷却コイルは、水分の結露が多く、カビの絶好の繁殖場所となる。冷却コイルに発生したカビは、室内空気に粒子を放出し、喘息、頭痛、アレルギー、その他の呼吸器系疾患(気管支炎、肺腫瘍の発生、湿疹、毒性カビ症候群など)を誘発する
解決策 : 微生物やカビの繁殖は、定期的なカビ検査と紫外線殺菌装置(UVGI)などの微生物不活性化技術の組み合わせで、予防・軽減することができる。(後略)
審査項目: (要約内容)
Option 1 セントラルエアハンドリングユニットでは冷却コイルとドレンパンにUVGIを設置、ファンコイルユニットではUVGIを設置するか、カビの発生を検査・清掃できるように計画する
Option 2 以下を満たすこと
a メーカーの推奨に従ってUVGIを交換または保守し、毎年報告する
b UVGIのない冷却コイルは3ヶ月に一度、点検し、清掃し、毎年報告する
四半期ごとに更新版が出ており、今回の訳は2022年Q4のバージョンとなっている
出典先WP:International WELL Building Institute
https://www.wellcertified.com/
2018年発行の日本語版はこちら(最新のバージョンは英文のみ)
https://resources.wellcertified.com/?type=tools&tags=language%2FJapanese&showFilters=true